高血圧 – 当院での治療方針

高血圧治療の目的は何でしょうか

持続する高血圧により心臓や血管などに障害を生じ、もしくは現在起きている障害が進展することを防ぐことです。

高血圧と動脈硬化のメカニズム

高血圧により血管にストレスがかかり動脈硬化が生じます。それにより血管障害が生じて、臓器障害へと導かれます。多くは心臓障害、脳血管障害や腎臓障害が心配されます。

一度生じてしまった動脈硬化は治る(消失する)ことは難しいと考えられており、動脈硬化が生じる前から慎重に対応すべきと考えられます。

高血圧の診断と治療

血圧の低下の目標は学会から指針が出ていますが、患者さんごとの状態に合わせて治療を考える必要があります。
診断に自宅での血圧測定が重要な役割があります。
診察室での血圧測定のみでは診断しきれないと考えます。
上腕で測定する家庭用血圧測定器で、
以下の条件を満たすようなタイミングで1回測定(もしくは2回測定して平均)することが推奨されます。

起床後1時間以内
排尿後
朝の服薬前
朝食前
椅子に座って1-2分の安静の後

また血圧の測定結果は必ず記録してください。
『記憶』ではなく、『記録』をしましょう。
受診時には血圧の測定結果をお持ちいただけると、医療者側も状況がわかりやすいです。
血圧とともに脈拍も記録してください。

食事や生活習慣の改善も重要です。これは現在服薬を行っている方にも大切です。
「塩分の多い食事は日本人の文化」と、私は考えますが、しかし醤油の使いすぎは注意です。
減塩をする食事療法だけに頼るとなかなかうまくいきません。
高血圧の患者さんの多くは糖尿病や高脂血症なども併せ持っている(もしくは予備軍である)ことも多く、運動療法が大切です。
ウォーキングも良いですが、エスカレーター・エレベーターを使わないことも立派な運動のひとつです。

これまで「日本人は血圧が高くて当たり前」という、間違った認識が多く見受けられました。
血圧の薬を服薬するだけが治療ではありません。しかし臓器障害が生じてからでは後手を踏むことにもなります。
「一度降圧薬を内服したら必ず飲み続けなくてはいけない」と考えるのではなく、「服薬していても、薬が中断できるように努力をすること」が大切です。必ずしも飲み続けなくてはいけない人ばかりではないのです。

脳卒中や心臓卒中を予防できるよう、循環器専門医としてアドバイスさせていただきます。
一緒に考えて治療を行いましょう。

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